2026/07/27
ゼロ円管理
建物管理
自社でリフォームも管理も可能な管理会社が強い理由。管理料0円、仲介料0円で実現する圧倒的な費用削減

「管理料無料」の管理会社はなぜ成り立つのか。費用の仕組みと確認すべきポイント
この記事のポイント
結論:管理料が無料の会社は、リフォーム工事や客付けなど別の業務で収益を得ています。費用が消えるわけではなく、支払う場所が変わるだけです。
比較すべきもの:管理料の料率ではなく、5年程度の期間でオーナー様が支払う総額です。工事費・客付け費用・修繕手配料を合算して比べてください。
注意点:管理料が無料でも、工事費が相場より高ければ総額は逆転します。工事の見積内訳を確認できるかが判断の分かれ目です。
目次
賃貸管理でオーナーが支払う費用の内訳
賃貸管理を委託すると、毎月の管理料が発生します。
ただ、オーナー様が実際に支払っている費用は、管理料だけではありません。
入居者を募集すれば客付けの費用がかかります。
設備が壊れれば修繕費が発生します。
退去のたびに原状回復工事も必要です。
これらを合算して初めて、委託にかかる総額が見えてきます。
主な費用項目を整理すると、次のようになります。
| 費用項目 | 一般的な名目 | 発生のタイミング | 確認しておきたいこと |
|---|---|---|---|
| 管理料 | 月額賃料の3〜5%程度とする例が多い | 毎月 | 料率だけでなく、業務範囲がどこまで含まれるか |
| 客付けの費用 | 仲介手数料。宅地建物取引業法により、貸主・借主から受け取る合計額は賃料1ヶ月分+消費税が上限 | 入居者が決まったとき | 上限とは別に広告料(AD)を求められる場合があるか |
| 原状回復・リフォーム工事費 | 工事の実費 | 退去時、または改修時 | 見積の内訳が項目ごとに示されるか |
| 工事の手配料 | 工事費に一定率を上乗せする会社もある | 工事のたび | 手配料の有無と料率。契約書に明記されているか |
| 修繕対応の手数料 | 小規模修繕の手配に対する費用 | 修繕が発生したとき | 管理料に含まれるのか、別途請求なのか |
「一般的にはこうだ」と断定できるだけの統計を、当社は持ち合わせていません。
そのため、まずはお手元の管理委託契約書をご確認ください。
管理料の料率、工事手配料の有無、客付け時の費用負担が、どこかに記載されているはずです。
この3点が把握できていれば、他社と比べる準備は整っています。
管理と施工を同じ会社が担う仕組み
賃貸管理会社には、大きく分けて2つの形があります。
ひとつは、管理を専門に行い、工事は外部の施工会社へ依頼する形です。
もうひとつは、管理と施工を同じ会社の中で行う形です。
後者を、この記事では「自社一括型」と呼びます。
どちらが優れているという話ではありません。
収益の得方が違うため、オーナー様から見た費用の見え方が変わります。
・管理業務:入居者対応、家賃の入金確認、退去の立会いなどを自社で行う
・施工業務:原状回復やリフォーム工事を、自社の施工体制で行う
・収益の中心:工事の利益。管理料を低く設定したり、無料としたりする会社がある
・オーナー様から見た形:毎月の固定費が減り、工事のときにまとめて支払う形になる
ここが重要な点です。
管理料が無料でも、管理業務のコストがゼロになるわけではありません。
人件費もシステム費用も、当然かかっています。
そのコストを、工事の利益で回収しているという構造です。
つまり費用が消えたのではなく、支払う場所が移動しているのです。
5年間の総額をモデルケースで比較する
実際に数字を並べてみます。
以下は当社が扱った案件の傾向をもとに組んだモデルケースです。
特定の実在案件を指すものではありません。
前提は、家賃6万円の1戸を5年間保有する場合とします。
入居期間を2年半と仮定し、5年で2回の募集が発生するものとします。
また、5年の間に1回、150万円の改修を行うと仮定します。
| 費用項目 | 管理料を支払う形(料率4%と仮定) | 管理料無料の形 | 差 |
|---|---|---|---|
| 管理料(5年分) | 6万円×4%×60ヶ月=14万4,000円 | 0円 | −14万4,000円 |
| 客付けの費用(2回分) | 6万6,000円×2回=13万2,000円 | 自社で客付けできれば0円。他社経由なら同額が発生 | 0〜−13万2,000円 |
| 工事の手配料(工事費の7%と仮定) | 150万円×7%=10万5,000円 | 0円 | −10万5,000円 |
| リフォーム工事費 | 150万円 | 150万円(同額と仮定) | 0円 |
| 5年間の合計 | 188万1,000円 | 150万〜163万2,000円 | −24万9,000〜−38万1,000円 |
管理料無料の会社は工事の利益で運営費を賄っています。
そのため、同じ工事内容でも見積が高くなる可能性があります。
仮に工事費が150万円ではなく175万円だったとします。
その場合、5年間の合計は175万〜188万2,000円となり、差はほぼ消えます。
管理料の有無ではなく、工事の見積が妥当かどうかが判断の中心になります。
「管理料無料」をどう読み解くか
「管理料0円」という表示を見たとき、確認していただきたいことがあります。
それは「何をもって無料としているか」です。
管理業務の範囲は会社ごとに異なります。
家賃の入金確認だけを指す場合もあります。
入居者からのクレーム対応や、深夜の設備トラブルまで含む場合もあります。
範囲が狭ければ、無料でも不思議ではありません。
- 業務範囲:無料に含まれる業務がどこまでか。契約書の別表に記載されていることが多い
- 工事の発注先:工事を必ずその会社に依頼する条件が付いていないか。付いている場合、相見積もりが取れない
- 工事の見積内訳:項目ごとの金額と数量が示されるか。一式表記が多い場合は妥当性を判断しにくい
- 解約の条件:途中解約に違約金がかからないか。工事費の回収を前提とした縛りが設けられている場合がある
この4点が明確であれば、管理料無料は合理的な選択肢になります。
逆に不明確なまま契約すると、後から総額が読めなくなります。
なお、管理受託戸数が200戸以上の管理業者には、賃貸住宅管理業法に基づく国土交通大臣の登録が義務付けられています。
登録業者には、契約前の重要事項説明が求められます。
この説明の場で、上の4点をご確認いただくのが確実です。
当社(株式会社たなcafe)の場合
ここからは当社の運用についてご説明します。
一般論ではなく、あくまで当社の場合という前提でお読みください。
拠点:名古屋市を中心に、賃貸管理・賃貸リフォーム・民泊運営を行っています
自社物件:シェアハウス「Share Kvet」、賃貸物件「HISUI(翡翠)」などを自社でも運営しています
施工体制:原状回復とリフォーム工事を自社で対応しています。工事の手配料は頂戴していません
収益の得方:工事の利益と自社物件の運営収益が中心です。管理料を抑えられているのはこの構造によるものです
お伝えしていること:工事の見積は項目ごとにお出ししています。他社様との相見積もりも問題ありません
自社でも物件を運営していることには、実務上の意味があります。
募集条件を決めるとき、自社物件の反応が判断材料になるためです。
「このエリアでこの家賃なら、どのくらいで決まるか」を、自分の物件で確かめています。
民泊も運営しているため、宿泊需要の動きも合わせて見ています。
ただし、これは当社が運営する範囲での把握です。
市場全体の統計ではないことを申し添えます。
会社の詳細は nagochin.com をご覧ください。
委託先を選ぶときに確認したい5項目
ここからは、当社に限らず委託先を選ばれる際の確認事項です。
料率だけを比べても意味がありません。
3%の会社と5%の会社では、含まれる業務が違う可能性があります。
契約書の別表で、業務の一覧をご確認ください。
とくに深夜・休日の緊急対応が含まれるかは、後から効いてきます。
工事費に何%かを上乗せする会社と、上乗せしない会社があります。
どちらが良いという話ではありません。
上乗せがある代わりに管理料が安い場合もあります。
明記されているかどうかが確認のポイントです。
自社一括型では、工事も同じ会社に依頼するのが前提となる場合があります。
これは効率の面では利点ですが、価格の比較がしにくくなります。
他社で見積を取ることが契約上可能かを、事前にご確認ください。
自社で入居者を決められた場合と、他社の仲介会社経由の場合で費用が変わります。
また、広告料(AD)を求められるかどうかも会社によって異なります。
「客付け費用0円」と表示されていても、条件が付いていることがあります。
管理委託契約の解約予告期間と、違約金の有無をご確認ください。
管理料を抑える代わりに、一定期間の継続を条件とする会社もあります。
条件そのものは不当ではありませんが、把握したうえで契約されることをお勧めします。
入居者側から見た影響
管理の形は、入居者にも影響します。
ただ、これは会社の形態そのものよりも、体制の作り方によるところが大きいと考えています。
| 入居者が感じる場面 | 影響しうる要素 | 形態にかかわらず重要なこと |
|---|---|---|
| 設備の不具合を連絡したとき | 施工の履歴を管理側が持っているか。持っていれば原因の切り分けが早い | 連絡窓口が明確で、一次回答までの時間が決まっていること |
| 入居時の室内の状態 | 原状回復の判断を誰が行っているか | 前入居者の退去時に、どこまで手を入れる方針だったか |
| 共用部の管理 | 清掃や巡回の頻度をどう設定しているか | 管理委託契約で、頻度が具体的に定められていること |
当社の場合、施工を自社で行っているため、工事の履歴が社内に残ります。
そのため「この壁は昨年張り替えた箇所です」といった確認がすぐにできます。
不具合の連絡を受けたときに、原因の見当をつけやすいという実務上の利点はあります。
当社が実際に取り組んだ内容
当社が運営する全46室のシェアハウスです。
運営を引き継いだ時点で、入居率は7割弱の状態でした。
実施した内容:
- 全室を一度に止めず、段階的に分けて改修を進めた
- 改修中の区画がある間も、他の区画で募集を継続した
- 共用のキッチンとラウンジを改修し、入居後の生活動線を見直した
- 家賃は42,000〜44,000円、共益費13,000円(水道光熱費とWi-Fi込み)に整理した
結果:改修完了後、入居率は9割台まで回復しました。
月額55,000〜57,000円という総額の分かりやすさが、問い合わせにつながったと見ています。
この事例で申し上げたいこと:改修そのものより、段階的に進めて募集を止めなかったことが効きました。
全室を一度に止めていれば、その間の収入がゼロになります。
自社で施工しているため工程を細かく組み替えられた、という側面はあります。
ただし、これは46室という規模だからできたことです。
戸数の少ない物件では、同じ進め方はできません。
築年数の経過した単身向け賃貸を、当社で改修し運営している物件です。
実施した内容:
- 室内を改修したうえで、物件名を統一して募集した
- 各フロアのWi-Fi環境を整備し、接続情報を室内で確認できるようにした
- 写真の撮り直しと、募集原稿の作り直しを行った
結果:改修前と比べ、問い合わせの数は増えました。
ただし、家賃の上昇幅や入居率の変化については、比較できるだけの期間のデータが揃っていません。
数値としてお示しできる段階になれば、あらためて公開します。
自社一括型が向かないケース
ここまで自社一括型の仕組みを説明してきました。
ただ、すべてのオーナー様に合う形ではありません。
当社としても、次のような場合は他の選択肢をご検討いただくほうがよいと考えています。
| こういう場合 | 理由 | 検討したい選択肢 |
|---|---|---|
| 工事費を1円でも安く抑えたい | 相見積もりを取って最安値の会社に発注するほうが、工事単価は下がりやすい | 管理と工事を分け、工事はその都度入札する |
| すでに信頼できる施工会社がある | 関係が築けている施工会社があれば、それを変える必要はない | 管理だけを委託し、工事は従来どおり発注する |
| 物件がエリア外にある | 当社は名古屋市を中心とした範囲で対応している。遠方は現地対応が遅れる | その地域に拠点のある管理会社 |
| 大規模修繕や特殊な工事が必要 | 躯体・外壁・給排水本管などは、専門の施工会社のほうが実績が豊富な場合がある | 設計事務所や専門施工会社への相談 |
| ご自身で管理する時間がある | 戸数が少なく、物件の近くにお住まいであれば、自主管理のほうが費用は抑えられる | 自主管理。必要な部分だけ部分委託する |
とくに1つ目は率直に申し上げておきたい点です。
工事単価だけを比べれば、相見積もりに勝てないことはあります。
自社一括型の利点は単価の安さではありません。
判断から着工までの時間が短いこと、履歴が残ることにあります。
この違いを踏まえたうえで、ご判断ください。
よくあるご質問
A. そうとは限りません。
管理料の分が工事費に反映されている可能性があります。
比較する際は、5年程度の期間で総額を並べてみてください。
本記事のモデルケースでは、工事費が同額なら5年で25万〜38万円の差が出ました。
ただし工事費が2割ほど高ければ、この差は消えます。
A. 当社は問題ありません。
むしろ取っていただくほうが、金額の妥当性を確認できます。
会社によっては契約上の制約がある場合もあります。
契約前に確認されることをお勧めします。
A. 自社で入居者が決まった場合はかかりません。
他社の仲介会社経由で決まった場合は、通常どおり発生します。
また、募集状況によっては広告料(AD)が必要になることもあります。
「必ず0円」とは申し上げられません。
A. 一般的には、家賃の振込先変更と連絡先の案内が必要になります。
引き継ぎの手順や必要な通知は、契約内容や個別の事情によって異なります。
現在の契約の解約予告期間もあわせてご確認ください。
契約解釈に判断が必要な場合は、弁護士へのご相談をお勧めします。
A. 原則として、修繕費に当たるものは経費、資本的支出に当たるものは減価償却の対象となります。
ただし、この区分は工事の内容によって個別に判断されます。
金額や工事の性質によって扱いが変わるため、税理士へご確認ください。
まとめ:判断のための整理
比べるべきは料率ではなく総額
管理料が無料の会社は、別のところで収益を得ています。
それ自体は問題のある仕組みではありません。
ただ、オーナー様が判断されるうえでは、費用の全体像を把握する必要があります。
本記事のモデルケースでは、工事費を同額と仮定した場合に5年で25万〜38万円の差が出ました。
一方、工事費が2割高ければ差はなくなります。
つまり判断の中心にあるのは、管理料ではなく工事の見積です。
委託先を検討される際は、次の3つをご確認ください。
ひとつ目は、管理料に含まれる業務の範囲。
ふたつ目は、工事の見積が項目ごとに示されるか。
みっつ目は、相見積もりを取ることが契約上可能か。
この3点が明確であれば、どの形態を選ばれても大きな失敗は避けられると考えています。
当社は名古屋市を中心に、賃貸管理・賃貸リフォーム・民泊運営を行っています。
現在お使いの管理委託契約書をお持ちいただければ、費用項目の整理をお手伝いできます。
当社に切り替えていただく前提ではありません。
「今の契約で何にいくら払っているか」を把握するだけでも、判断材料になります。
会社概要は nagochin.com をご覧ください。
なお、本記事は一般的な仕組みと考え方を説明するものです。
個別物件の費用削減額や入居率を保証するものではありません。
契約や法令の解釈については弁護士に、税務上の取扱いについては税理士にご確認ください。













